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≪青い文学≫第12回最終回 「地獄変」 【感想】
2009-12-29 Tue 17:28
 ああああ、やっちゃったよぉって感じ。

 前の「蜘蛛の糸」からつながってます。処刑されたカンダダの遺体を見ていて男が、絵描きで、あのイカレテル王様に自分の霊廟のなかに絵を描くように申しつけられますよ。
 この国のありのままの姿を描けといわれて、結局絵描きが見たのは、この世にある地獄だった。

 ま、確かに王様いかれてるので残虐なことやってるし、王によってこの世の地獄は生み出されたものは違いないのだけど、でも、もっと市井の人々のささやかな幸せとかに目をむけてもよかったのにね。

 あー、壁の中に人柱として埋められた人間の遺体がでてきて、娘が「むごい」というんですけど、どーなんでしょうね。古今東西、土木工事で人柱はおこなわれてきたし、その時代その国に生まれた人間がそれをむごいと否定する価値観を持ってるもんなんでしょうかね。
 安易な演出のだめだめ例っすな。

 で、絵描きが地獄絵を描いてることに激怒する王に、娘はたてつくこと言って…。

 結局「紅蓮の炎の中でもがきくるしみながら死んでいく人が見たい」と願った絵描きのために、王は娘を謀反人として火刑にする。

 だーかーら、違うって。
 あああああ、芥川の世界観、ぐちゃぐちゃですよ。たしかに、何かに取りつかれた人間の悲劇、というくくりにはしてるけど、でも違う。でもって、娘は自己主張をしちゃいかん。流されるままに、理不尽に殺されるからこそ、芥川の虚無が「ぼんやりとした不安」があるだからさぁ。

 最後の絵は、結構よかったのになぁ。
 
 
 ともあれ、このシリーズ最終回です。
 全体的には面白かった。「人間失格」と「走れメロス」はとってもよかったです。ま、よーするに制作者が太宰のファンだったんだろうね。
 また、やってくれるといいなと思うけど、今度はあんまり奇をてらわないほうがいいと思う。うん、軸がぶれない程度にしてもらいたいです、はい。




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≪青い文学≫第11回 「蜘蛛の糸」 【感想】
2009-12-29 Tue 17:14
 まぁ、いまさらストーリーを語る必要もない「蜘蛛の糸」
 さて、どー料理するのかと思ったら…。

 カンダダの極悪非道っぷりが強調されていて…。
 あと、キャラのせいか、微妙にブリーチww

 ついでに、国が妙にサイケ。でもって、王様ちょっといかれてる。
 こんないかれた国だから、これだけの悪人になりました、ってしたかったわけじゃあるまい。

 で、蜘蛛を殺さなかったシーンも…。

 まぁ、よーするに芥川をとっても愛している私としては、首をかしげざる得なかったわけだ。
 あれは、お釈迦さまの気まぐれと、虚無感の小説だと思うので、人間を超えて全てを俯瞰している存在が不可欠だと思うんだが。
 まぁ、最後に蜘蛛がすっと消えていくあたりは、ちょっと、うむ、ってなったけどね。

 


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≪青い文学≫第10回 「走れメロス 後編」 【感想】
2009-12-07 Mon 21:02
 ますます「魍魎の匣」みたいになってきたよww

 結局は、メロスの話より、劇作家の話になってしまうのは、まぁ、仕方ないよね。
 メロスが、様々な苦難、そして自分との戦いに勝って、セリヌンティウスのもとに帰ってくるっていうその部分は揺るがないし周知だものね。
 その、偽善、欺瞞ともとられかねない行為にリアルを与えるための、いや、あくまでメロスは舞台上なので、絶対リアルではないのだけど、その絶対リアルにはならない部分があることが、別のベクトルからのリアルとして成立したおように感じた、そのための劇作家のエピソードなんだろうなと思った。
 もっともその劇作家も、友人の幻をみたりで、リアルから遠ざかっていくんだけどね。
 
 さすがにちょいやりすぎじゃないですか。「菊花の約」ですかい、と心配しましたが、まぁ、劇作家と役者の友情ですもの、暑苦しいぐらいに熱いもんなんでしょうww

 死の床にある友人と再会したシーンには、思わず涙腺が…。
 結局、一緒に東京に行こうと約束した、あの約束をたがえた理由は語られなかったけど(心臓に持病がって、におわせる表現はあったけどね)もう理由なんてどうでもよくなった、ただただその友人を求めていた気持ちに気付くことが大事だったんだよな。

 最後の時計が出てくるところが、多分こーなるんだろうねと思ってたのに、やられた。
 ああああ(落涙)

 にしても、ここまで魍魎っぽいなら、キャラデザインをCLAMPにすればよかったんじゃねぇ?とww
 なんつーか、対極にあるものを、セルロイドの板の端と端にのせて、えいやって曲げてむりやり近づけた、そんな印象です。

 と、主役は堺氏があてるっていうこのシリーズなんだけど、今回の真の主役劇作家を木内さまが、メロスを堺氏が演じることで、堺氏が俯瞰的な立場になったようで、すごく面白かったですよ。うん、上手い使い方だ。






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≪青い文学≫第9回 「走れメロス 前編」 【感想】
2009-11-30 Mon 21:35
 とーーーっても有名な「走れメロス」をどう料理するのかと思ったら、マトリューシュカ的な入れ子構造できましたよ。

 アバンで太宰が借金のカタに檀をおいてきぼりにした話があって、「待つ方がつらいのか、待たせる方がつらいのか」っていう言葉がでた。
 で、本編にはいって、それを言うから、太宰自身なのかと思ったら別人の劇作家で、劇としての「走れメロス」を注文されてって話で…。それから、その劇作家の大学時代の話がはいってきて…。

 まさに、マトリューシュカ。

 でも上手かったなぁと思いますよ。
 メロスの話はどうやっても寓話で、時代がかっている。だったら演劇ですよ、ってするほうがある意味自然。でもって、そこにそれを書いた架空の男を配する2重構造を作ることで、万華鏡のような雰囲気になっている。
 まぁ、劇作家の過去はちょっとできすぎじゃないかなと思わないでもないんですけどね。
 
 それよか、劇作家の風貌といい、彼の書斎といい、「魍魎の匣」ですか、って感じだったんですけど。しかも中の人が木内さまだし。つか、もしかしてそれを狙ってた??

 にしても、木内さまの声はいいねぇ。
 あのちょっとぼそっとした感じが最高ですよ。DTBでももっとヘイ話せよ、って思うけど、まぁあれはあれでいいんだけどさ。

 後編も楽しみです。


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≪青い文学≫第7回 第8回 「こころ」 【感想】
2009-11-23 Mon 15:19
 夏目漱石の「こころ」の<先生>が親友を裏切り、自殺に追い込んだという部分を、描いている。

 7回の「こころ 夏」は、<先生>の視点から。8回の「こころ 冬」はKの視点で描かれたんだが…。

 視点で季節が違うのは、よーするに心理的なものの象徴なんだろうと解釈するとしても、なんともいえない消化不良感が残ったんですけど。
 ま、基本的に<先生>はKを裏切ってお嬢さんと結婚したと、そのためにKは自殺したと思ってるみたいだけど、そもそもまともに学校にもいってない、父母の後ろ盾もない、身ぎれいにもできないKがお嬢さんと釣り合うと考えるのが間違ってるだろうが。もっとも、<先生>はそういう風に感じる自分が、上から目線になっている、高等遊民の嫌な部分と思って、罪悪感をつのらせたんだろうけどね。
 Kの自殺に<先生>の罪はないと思うんだが、それはアニメとして成功してるんだろうか、そうじゃないんだろうか。

 結局、高等遊民の自意識が<先生>を苦しめていく、って結論つけていくなら、自殺に責任があると明確にする必要はない。むしろあってはいけない。でも、単に<先生>のせいで自殺したと結論つけたいのなら、あれでは不十分だったんじゃないかな。

 にしても、不可解なのはお嬢さんですよ。
 「夏」では、Kとなにかあったっていうにおわせたところはあっても明確ではなかった。(明治の文豪作品だから、あからさまに描くことは、まぁまずないけどさ) でも「冬」では…。
 だったらなぜお嬢さんは、Kの待つ駅に行かなかったんでしょうねぇ。
 むしろ一番の罪びとは(「冬」の表現では)お嬢さんで、<先生>はその罪をかぶったって感じですな。

 ともあれ、「こころ」のメインは、過去話じゃなくてこの1件で生きる屍みたいになってしまった<先生>じゃないんのかなぁ。もっとも、それをアニメにっていうのは難しいすぎると思うが。

 「冬」の湯たんぽが、ものすごくよかった。
 お嬢さんがいると、Kの世界に色彩が戻るっていうのは、わかりやすいけど、ちょっとあざとかったかな。



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